3月のスポーツ大会が感染の「苦しみと死者数を増やした」 英科学者が分析

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イギリスで3月に開かれた大規模スポーツイベントが、同国に「多くの苦しみと死をもたらした」

イギリス最大のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)行動追跡プロジェクトを率いる科学者が、そう指摘している。

体を触りまくっていた

その夜、サッカーのリヴァプールはアンフィールド・スタジアムで、アトレティコ・マドリードと試合を戦った。


約3000人のファンがマドリードからマージーサイドを訪れ、バーやレストランで交流した。マドリードはスペインにおける流行の中心地で、当時は同国で確認された感染者のほぼ半数を占めていた。


リヴァプールのサポーターで、8週間にわたって病気の状態が続いているジョエル・ルックウッドさんは、その夜にCOVID-19にかかったと信じている。そして、ゴールが決まったとき、観客たちがいかに新型ウイルスの伝染リスクを気にしていなかったかについて思い返した。


「そのときの喜びようは、私が経験した中でも最大級の身体的なものだった」と彼は言った。「みんな跳ねながら互いに体を触りまくっていた」


リヴァプールのサポーターグループの1つ、「ザ・スピリット・オブ・シャンクリー」は試合の2日前、マドリードからファンが来ることについて安全会議で懸念を表明したが、政府の助言に沿って、そのまま開催すると言われたという。



では、こうしたスポーツイベントが感染者の急増につながったのだろうか。


確実なことは言えない。しかし、BBCラジオの番組「ファイル・オン4」が確認したデータによると、リヴァプールとチェルトナムは3月最終週の時点で、感染が疑われる人々の数が最も多い地域に含まれていた。


このデータは、「COVID-19症状研究」がまとめたものだ。これら2地域の年齢20~69歳の住民のうち、推定5~6%に症状が出ていたとしている。


プロジェクトでは、数百万人のボランティアのデータを分析したその結果、競馬の障害競走の祭典「チェルトナム・フェスティバル」と、サッカーのチャンピオンズリーグの試合(リヴァプール対アトレティコ・マドリード)の直後に、新型ウイルスの感染が多発した「ホットスポット」ができていたことが分かった。


調査プロジェクトを率いるキングス・コレッジ・ロンドンのティム・スペクター教授は、これにより地域の感染者数の割合が「7倍増加した」としている。


一方、英政府は特定の地域の感染者数は、多くの要因が影響していること話している。


ところが、この密集したイベントでの痛手の経験は、あまり役立っていないのかもしれない。

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イングランドでは週末の3連休を前に、海沿いのリゾートに数千人単位の観光客が集中している。多くの観光客が新型コロナウイルス対策を守っておらず、地元の住民は「恐怖」を感じていると話している。


イングランド南部サウスエンドの住民は、「毎日なお数百人が亡くなっているのに、ビーチで遊んでよいと思っている人がいる」と苦言をもらした。


イングランド東部ノーフォーク警察のサイモン・ベイリー署長は、ロックダウン(都市封鎖)は「すっかり過去のもの」だという考えが広がっている恐れがあると話した。


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「敬意を欠いている」

イギリス政府はイングランドの住民に対し、同居者以外と2メートルの距離を保つ限りは屋外で運動したり、イングランド内を移動してよいというガイダンスを発表している。


BBCノーフォークのクリス・ゴーラムは、ベイリー署長が海岸沿いの交通渋滞について、「夏季の3連休の水準」だったと説明したと伝えた。また、同署長が「あまりに多くの人がロックダウンを諦めてしまったと心配している」とした。


ベイリー氏は、「自分たちを守るために最善を尽くしてきた」地元住民への「敬意が足りない」と懸念を表明。


「ますます多くの人が海岸を目指している。良い天気なのでこのこと自体には驚かない。私が驚いているのは、まるでロックダウンが解除され、やりたいことは何でもでき、新型ウイルス危機は終わったという感覚だ」


「本当に心配している。状況は全くそうではないので」


サウスエンドのマーティン・テリー市議会議員は、自治体は夏に向けて不安を抱えていると話した。「30万人もの人が訪れることもある」「ロックダウンが解除されたらまず何がしたいかというアンケートでは、70%の人が海岸に行ってアイスクリームを買いたいと答えていた」という。

地元で懸念と怒り

サイモン・ステミングさんは「私たちは家にいろと言われていたから、(人々が集まって)怒っている」と話した。


「政府の『気をつけて』というメッセージは意図的にあいまいにされていて、政府が責任を取らなくていいようになっている」


何だか日本の自粛要請と変わらない現状がイギリスでもあるようだ。